九州場所開催中の11月14日、

一部スポーツ紙がスクープして事件が公になった。

日馬富士は同日の朝稽古後、

10月25日の晩に巡業先の鳥取県で平幕・貴ノ岩(27)に暴行した事実を認めた。

ともにモンゴル出身だ。

「貴ノ岩のけがについて……

大変迷惑を掛けたことを深くおわび申し上げます」

そう謝罪した日馬富士は、

3日目からの休場を決めた。

被害者の貴ノ岩は初日から休場しており、

11月13日に日本相撲協会が公表した診断書によると

「脳振盪、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑いで全治2週間」。

加害者が暴行を認め、

(のちに診断した医師が疑義を申し立てたものの)

診断書によれば被害者のけがも重傷であることから、

この時点で日馬富士の逮捕や引退もあると報じられた。

元横綱・朝青龍が暴力事件を起こして自ら引退を申し出た前例もあったからだ。

しかし……後に続いた報道は、

日馬富士が貴ノ岩を殴ったときにビール瓶を使っていたか否かとか、

相撲協会への報告より前に警察に被害届を提出していたことが不可解だと貴ノ岩の師匠の貴乃花親方に矛先が向いていく。

ビール瓶うんぬんは刑事事件としての量刑に関わる部分ではあるが、

大相撲という伝統文化の中で横綱の暴力は、

その事実だけで厳重な処分に匹敵する。

「事実と異なる話が独り歩きしています。

そもそもあの酒席は最初に伝えられたようなモンゴル人力士の集まりではなかった。

鳥取城北高校のOBが集まるから、

と声を掛けられた貴ノ岩が行くと、

白鵬、日馬富士、鶴竜という3横綱がいた」

ベテラン相撲記者がそう語る。

「鳥取城北の相撲部監督の息子で同部OBの石浦を内弟子にしている白鵬がいるのは想定内でも、

あとの2横綱がいたのは貴ノ岩からすれば想定外。

その酒席で貴ノ岩が

『もうあなたたちの時代ではない』

と言って日馬富士がキレた、

と報じた記事がありましたが、

貴ノ岩の言葉は『俺たちの時代だ』というもので、

それも、その場では口にしていない。

その言葉が『もうあなたたちの……』と変質して横綱たちに伝わり、

それを白鵬はその酒席で問い詰めた。

貴ノ岩は『そういう言い方はしてません』と答えていたが、

脇にいた日馬富士がキレた……

若手の言葉を曲解して鉄拳制裁したのが横綱だった、

という話なんですよ」

(ベテラン相撲記者)

一方、貴乃花親方の行動も確かに不可解で、

まず協会に報告するのが筋だ。

しかし貴乃花親方を知る関係者に言わせれば、

「協会は現役横綱の不祥事は避けたい。

貴乃花は、うやむやにされたくなかった」。

22日には協会から貴ノ岩の聴取に協力するよう要請されたが貴乃花親方は拒否。

これも前出の関係者によれば、

「あくまでも警察の取り調べを優先するという意思の表れ」だとか。

兄で元横綱・若乃花との確執など、

これまで色々な場面で物議を醸してきた貴乃花親方の

“融通のきかない正義感”が、

弟子を守ろうとして極端な形になったのかもしれない。

24日の日刊スポーツは1面で、

「(モンゴル大統領特使を務める)元朝青龍が、

バトトルガ大統領に報告、

大統領が安倍首相と話し合いたいと言った」

との記事を掲載し、

日本・モンゴル間の国際問題かのような表現だ。

元4アナウンサーで大相撲を65年間見てきた杉山邦博氏は、

ワイドショー的に話題が拡散している状況について

「残念で仕方がない」と憂えている。

「この事件のせいで相撲界にはまだ暴力があるんだと思われるのが極めて残念。

横綱は全ての力士の頂点に立ち、

あらゆる点で手本を示すべき立場です。

ことの次第がどうであれ、

横綱が暴力行為に及んだのだから、

厳しい批判も甘受しなければいけない。

この話は、ただ、そういうことですから」

横綱の暴力。

ことの本質を見失ってはいけない。

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